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県外行政調査レポート 山形県

2018年10月30日

 平成30年10月30日、県外行政調査で山形県を訪れました。

日本酒の誇りを世界へ

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 山形県天童市の出羽桜酒造株式会社を訪問し、営業部長兼社長室長の仲野賢さん、輸出担当長の鴨田直希さんにお話をお聞きする機会を得ました。この酒蔵では吟醸酒という特別な日本酒を早くから手がけ「吟醸を世界の言葉に」をスローガンに、今日の日本酒ブームの先駆けとして実績を上げておられます。酒蔵出羽桜は、「文化としての『日本酒』の誇りを、世界へ」を合言葉に、国内でもいち早く1997年より本格的に吟醸酒の輸出を開始しているとのことです。
 全国では日本酒の国内課税移出量の推移は、昭和48年が最大で176万キロリットル、清酒のシェア28%をピークに減少の一途をたどっています。平成27年度には55.4万キロリットル、清酒シェア6.3%になりました。20歳以上80歳未満の人口で表すとピーク時の昭和48年度は23.7リットルが1人当たり年間飲酒量であったものが平成27年度には約4分の1の6.1リットルに落ち込んでいます。酒造免許場(酒蔵)も昭和30年には4,021軒あったものが平成24年には1,517軒その後も合併などもあり、現在は1,300軒程度といいます。
 酒蔵出羽桜は、この状況に早くから危機感を感じ、地方の小酒蔵を中心に吟醸、大吟醸などという言葉の定着からはじめ、高付加価値の特定名称酒へ切り替えていきました。
 全国平均は特定名称酒:30%・普通酒:70%のところ出羽桜では特定名称酒:85%・普通酒:15%という比率にまで特化していたが、地元のお客様に支持を得ていた従来からの普通酒を切り捨てることはしませんでした。海外で評価を受けると国内での評価も上がるブーメラン効果がでるからです。地元に愛され、地元の方々が県外に誇れるブランド力の確立、これらのことが値引しなくても販売できる力になります。
 こうした努力を続けるなかで、平成9年欧州(独・仏・蘭)向けから始め世界中へ売り込もうとする中、日本酒が大好きでたまらない人物にハワイで出会ったそうです。移送時間が長くて品質に影響することの課題解決など、信念を持って日本酒の普及に努めてくれたことからアメリカで飛躍的に販路の開拓ができることになりました。「人とのご縁が大きな要素であることを痛感させられた」といいます。先を読み愚直に根気強く努力していると、良い出会いや運が向いてくるのだと思います。
 滋賀県では平成28年度に「地酒でお客様をおもてなしする条例」を議員提案で制定しましたが、まさに地場産業としての滋賀県33の蔵元がそれぞれの特徴をだして近江の地酒のブランド力を高めていただきたいと願っています。