ニューズレター

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2013年7月28日発行

国宝・彦根城を世界遺産に!!

県との連携強化を

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 2013年6月26日、彦根商工会議所議員総会において、彦根市の彦根城世界遺産登録推進室専門員・谷口徹氏の講演がありました。
 彦根城は文化庁に提出する推薦書原案の完成を目指しており、厳しくなる登録審査を通過するためには、彦根城は価値をより高めた上で、県との連携を強化できるかが課題であるという谷口氏の言葉が強く印象に残っています。
 登録活動は、都道府県が国との窓口となり、地元自治体が推薦書策定などの実務を進め二人三脚で取り組むのですが、彦根城の世界遺産登録は、すべてを彦根市が担当しており、ようやく今年5月から県との勉強会が始まったばかりだといいます。
 世界遺産登録は未来を生きる子どもたちへ、私たちができる贈り物であり、また、現在考え得る彦根市の有効な都市戦略であると私は考えています。県議会議員として、彦根城の世界遺産登録へ向けて、知事の世界遺産登録に対する考え方と彦根市のそれとは齟齬(そご)があるなか、精一杯彦根市と県とのパイプ役を努めることを決心しています。 
 商工会議所議員総会のあと、改めて市推進室を訪ね、詳しい話をお聞きしました。今回のニュースレターは、改めて世界遺産登録の困難さと可能性について、私なりに感じたことをまとめレポートすることにしました。

世界遺産と利活用

 彦根城の世界遺産登録について「文化財を利活用しながら遺す方がいいのでは」という声をよく聞きます。積極的な反対ではなく、登録は難しいからという諦めもあるのでしょう。市推進室で確かめてみると「利活用できないことはない」とのことです。ユネスコが定めた規制があるわけではなく、あくまでも国内法の基にあり、今まで通りとはいかないまでも、ルールに従えば利活用は可能なのです。正直に申しますと私も「利活用しながら遺す方がよい」と考えていた時期がありました。勉強不足を痛感いたしました。知るという努力をしなかったことをとても恥じています。
 彦根城の世界遺産暫定登録は、地元の運動の末にリスト入りしたわけではありません。国宝彦根城が世界遺産としての価値を認められ、当初から暫定登録が成されているのです。私たちはその意味と国宝彦根城に価値を見いだした世界の視点さえ正しく理解していないのではないでしょうか。
 国宝彦根城が世界遺産に暫定登録されたのは1992年であり、以来20年……。今一度、私たちには知る努力、知らせる努力が必要なのではないでしょうか。幸いにも市推進室では出前講座を始め、熱心に対応しておられます。私も私に与えられた全ての機会を通して、世界遺産登録の意味と進捗をお伝えしたいと思います。一市民として、私の父細江敏がそうであったように、あらん限りの時間とエネルギーを費やすことを約束いたします。
 「知る、そして知らせること」により、世界遺産登録への大きな市民レベルの盛り上がりを生み出すことができるのではと、私は信じています。

登録の可能性は?

 姫路城との違いや、城郭や城下町に求める戦略の難点が指摘され、新たな登録への戦略の構築が始まっています。果たして登録の可能性はあるのでしょうか。市推進室は「登録の可能性を信じ、精一杯のことを成す」という姿勢で、熱意を感じました。
 かつて、スミス記念堂は道路拡幅により取り壊し寸前でしたが、市民の保存再築運動により、今、堀端に美しい姿で建っています。また、芹川のケヤキ並木は伐採が進んでいたところを、保存署名運動によって、現在は彦根の代表的な歴史的風致を形成しています。
 可能性があったから保存運動が興ったのでしょうか。そこには、先人の彦根の未来に対する強い願いがあるだけで、可能性への保証は限りなく「ゼロ」だったのではないでしょうか。
 「国宝・彦根城を世界遺産に」の可能性を問うよりもまず、私たちが強く登録を願い、それぞれの立場で登録へ向けた行動を起こすこと。それが、20年目の第一歩ではないでしょうか。
 私たちは彦根城の世界遺産について興味を持ち、知ることから始めましょう。世界遺産のある都市で暮らす私たちのイメージを膨らませ、未来を想い描きましょう。そして、具体的にわたしたちに何ができるか考え行動しましょう。それら全てが、登録への可能性へ繋がっていきます。
 私たちひとり一人の暮らしそのものが、世界遺産を保存し未来に継承するプログラムなのです。

協力 彦根城世界遺産登録推進室


細江正人は、未来を生きる子どもたちへの贈り物として、彦根の有効な都市戦略として、彦根城世界遺産登録を応援しています。

 今回ニューズレターを製作するにあたり、本来、世界遺産に関する基礎的な情報から掲載すべきかどうか悩みましたが、紙面の都合上、可能な限り割愛いたしましたことお詫び申し上げます。また、彦根城の世界遺産登録に関しまして、今回の紙面では非常に不十分であると感じております。機会を与えていただきましたなら、喜んで世界遺産登録についての、県の考え方、市の考え方、私の考えなど、お話させていただきますので、ご遠慮なくご連絡をいただけたらと思います。

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