ニューズレター

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2015年3月22日発行

彦根・犬上という地域

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 平成23年、統一地方選挙の自民党選挙公約は、「カット! 2割! 2割! 2割!」でした。  議員報酬の2割カットについては平成23年6月定例会において議員提案で即決しました。  議員定数の2割カットについては、人口3万人程度に議員定数1人との考え方を採用し、人口と議員数、所謂一票の格差を是正することを最優先で検討しました。彦根市選挙区に犬上郡を合区し、現職5人になるところを定数4人に減じ、今回は第一次として現行定数47人を44人にする議員提案を平成26年2月に可決しました。私にとってもきびしい状況であることは変わりませんが、犬上という地域を考えたとき、新しい選挙区はここで暮らす人々にとっては好ましいことと思っています。

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江戸時代、高宮宿は多賀大社への門前町として賑わい、中山道と多賀道の分岐点に多賀大社一の鳥居が建っている。寛永12年(1635)の建立で、石の鳥居としては県下最大である。現在、この鳥居は県の文化財に指定されている。ここから多賀大社まで約3キロメートルだ。

 昭和12年2月11日、犬上郡の彦根町・松原村・北青柳村・青波村・千本村・福満村を合併して彦根市が誕生しました。昭和17年犬上郡磯田村・南青柳村、昭和25年犬上郡日夏村、昭和27年坂田郡鳥居本村、昭和31年犬上郡亀山村・河瀬村、昭和32年犬上郡高宮町、昭和43年愛知郡稲枝町と合併を繰り返しながら現在の彦根市が形成されました。  また、彦根・犬上は、江戸時代には彦根藩が治めるひとつの地域でした。江戸265年の平和な時代は、街道や琵琶湖の水運の整備が進むにつれ地域の文化が育まれ、歴史的な遺跡も多く残っています。  現在でも彦根市と犬上郡は密接な関係にあり、消防や医療など行政区画を越えての連携や協働が進んでいる分野もあります。  今回、選挙区が変わることで、今までスムーズに運ばなかったことが、広域で連携することで、一挙に進んだり、取り組むことができるようになる可能性があります。  人口3万人程度に議員定数1人という考え方を元にした、選挙区の改正でしたが、犬上郡という歴史を踏まえた大きな視点を持つことで、私たちの暮らしがよりよいものになるよう、努力をして参りたいと思っております。

スマートな電子自治体を目指して(平成27年2月26日)

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平成27年2月定例会

 2月の議会において、「スマートな電子自治体を目指して」と題して質問させていただきました。  昨今の情報処理技術はハード・ソフトとも超速で進化しています。しかし、技術が進歩して、「出来る。いわゆる、可能性」が広がったとしても、組織の仕組みがついていかないか、住民の理解が得られないのが実状かもしれません。そのような状況下、効率よく賢く機能する仕組みを目指して、滋賀県では総合政策部情報政策課が情報システム全体の最適化に取り組んでいただいていることを知りました。  コンピューターシステムに置き換えることによって出来ることと、今までやってきた業務のあいだに乖離(かいり)はないか、また有効な投資になっているのか、業務の齟齬(そご)がありはしないか、全て効率的に運用されているのか…。国や他の機関など、過大な投資をして先進的なシステムを作り上げても利用者が少なく、一利用者あたりにすると大変なコスト高になっている例などもあるからです。  電子化には多くの利点と、クリアしなくてはならない課題もまだ数多く存在します。マイナンバー制度を始め、国によって導入が決定される制度やシステムについては、その円滑な導入も含め、県民の利便性を向上させるためには、県民の気づきや要求に応えることが重要だと考えます。  課題への対応をも含め、引き続き、オープン化やビッグデータの活用など、県には情報システムの効果的・効率的な調達および活用に努めていただくと共に、議員として確りとしたチェックができるよう、情報化社会の研究が必要だと感じています。県民にとってのスマートな電子自治体を目指すことが、議員の使命と考えております。

多賀一圓屋敷にて原田亀雄さんと

多賀と彦根

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多賀町町会議員 原田亀雄さん

 3月2日、春めきよく晴れた午後、縁あって多賀の一圓屋敷で町会議員の原田亀雄さんとお会いすることができました。原田さんは66歳、私は2つ年上で彦根青年会議所で共に過ごした時代がありました。ゆっくりとお話するのは実に20年振りのことです。当時とはお互いの社会的な立場も大きく変わり、政治という分野に身を置きながら、市民運動では果たせなかったまちへの思いを今も胸に生きているのだと自分自身納得し、私はたいへん嬉しく思いました。  原田さんは「ちょうど平成27年4月からは、いろいろな法律が新しく施行されますので、私たちの暮らしが大きく変わる節目の年だと思っています。彦根と多賀は歴史的にも強い繋がりがあります。例えば、玄宮園や楽々園の小石は多賀の河内の石が使われていることが判っています。水も芹川から引いていましたから川という文化でも繋がっているのですね。そういう生活の仕組みだったんです。また、多賀はえびす講などの買い物や病院など暮らしの多くの部分を彦根に依存してきました。私は犬上郡全体のことを考えるならば、彦根とのパイプを強くしていくことがこれからの発展には欠かせないと感じています」と話されました。

人口減少問題と地方創生

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細江正人

   今、日本のほとんど全ての地方自治体が、人口減少問題と地方創生に取り組んでいます。人口減少問題を抱える日本だからこそ、観光振興(交流人口の増加)が重要だという認識があります。単に、短期的な交流人口を呼び込むということではなく、施策が将来的に定住者を増加させる契機とならなくてはと、考えています。  「彦根には彦根城、多賀には多賀大社があります。歴史的な遺産があるだけで多くの方々に訪れていただくことができるのですから、全国の各都市がその魅力向上を競い合い、次世代の市民を奪いあう状況に比べると危機感が薄いように感じます。現在でも、多賀の農業や林業の第六次産業化や三重県との県境である306号線鞍掛峠のトンネル化などの構想はありますが、遅々として進みません。多賀と彦根が協働することで、新たに大きな可能性が広がっていくのではないかと思います。細江さんには、県としてのバックアップやフォローをお願いできればと強く望んでいます。青年会議所時代に教えられたことは、会議所が行う全ての事業は『目的』ではなく、明るい豊かな社会を築くための『手段』であるということでした。今、それがよく解ります」と原田さん。  観光振興のための施策は、あくまでも「手段」でなくてはなりません。観光の振興を通じて、将来的に定住人口が増大し雇用の確保ができること。そういうものでなくてはならないはずです。彦根と多賀(犬上)がどのような未来を目指すのか、共通のビジョンを持たなくてはなりません。

広域で考える大切さ

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一圓家は江戸時代の庄屋で、屋敷は安政4年(1857)に建てられたとされ、平成20年に所有者の一圓六郎氏よりNPO法人彦根景観フォーラムに譲渡された。現在は同団体と、地元住民らで組織の多賀クラブとが結成した団体「多賀『里の駅』」が地元の町おこしの拠点として活用している。敷地1,678㎡、建物面積が約560㎡。3つの蔵がある。
毎月第一土曜日に、自然観察会や新鮮野菜の朝市、定例会が行われ。『多賀クラブ』の女性たちの旬の野菜料理は人気。地産地消メニュー「多賀里の駅季節の御膳」は「第6回地産地消給食等メニューコンテスト」 で農林水産大臣賞を受賞している。

 彦根だけ、多賀だけで考えると「近江商人」というテーマが抜けてしまいますが、一市四町で観光を捉えると新しい観光のコンテンツが生まれます。長浜を含めて広域で観光圏を考えていかなくてはなりません。  原田さんは「関西広域連合の会議があるように、彦根と犬上の一市四町の議会を作ってもいいのではないかと思っています。そうすることで、広域で取り組む機運が高まってくると思うのです。ゴミ処理問題や木質バイオ発電所の可能性も共に検討できるのではないでしょうか。細江さんいかがですか?」  今回の選挙区改正によって、議員もひとつになることができると思いますし、その必然性もあります。広域で物事を考えることが、これからますます大切になってくるでしょう。この広域での議論は改めて進めていかなくてはならないことを痛感しております。  原田さんとお話して、まちづくりへの熱意を失わず、努力を惜しまない、信じたことに対して挑み続けることの大切さを改めて感じた次第です。

国民体育大会開催は未来のために!

国民体育大会の進捗

 平成36(2024)年、2巡目の第79回国体の滋賀県開催内々定を受けまして、いち早く平成25年9月本会議において、主会場、競技施設、指導者の強化などについて、質問してまいりました。  平成26年5月26日に開催された国体開催準備委員会(第2回常任委員会)において主会場(開・閉会式や陸上競技の会場)を彦根総合運動場とすることが決定されました。平成26年6月の臨時会において、嘉田知事の2期8年で任期を全うすることへのご挨拶とともに報告がなされました。  現在、公園整備の基本的な考え方などを本年3月中に基本構想に乗っとり整理し、さらに施設整備内容の検討を加え、6月中に基本計画を策定し、10月中に基本設計にまで進める計画が発表されています。彦根市においてもメーンスタジアムはどうあるべきか検討を重ねておられます。  第79回滋賀国体では県内全市・町で競技を開催することを基本としています。開催種目については市、町の意向と競技団体の意向を国体開催準備委員会がヒアリングをしながら市町と競技団体の意向がマッチすればその方向で進みます。自治体と競技団体の思いに齟齬(そご)があると調整が必要になってきます。  滋賀県議会2月定例会議予算特別委員会で競技力向上とそのスケジュールについて示されました。  『競技力向上基本計画に基づき、具体的な強化事業を推進することは、国体までの期間を「準備期」「充実期」「躍進期」の3つに分け、計画的に競技力向上に取り組むこととなった。準備期は、次世代アスリート発掘育成プロジェクトによる将来のトップアスリートの育成と中学校と高等学校の接続などが円滑に進むよう強化拠点校を設定し、優秀指導者の配置等に努める。充実期は、国体開催年に照準を合わせた年代対象の強化事業や指導者の技術指導、戦略戦術指導の資質向上に取り組む。躍進期には、成年選手や指導者の雇用の受け皿の整備をはじめ、スポーツドクター、トレーナーによる選手やチームのサポート体制を構築し、実力向上と強化スタッフ体制の確立を目指していく」(要約抜粋)。

未来のための国体開催を!

 いずれにしても、国体開催が目的ではないのであり、国体を契機としてハード・ソフトの両面からまちづくりを進めること、国体開催後もハードとソフトが有効に機能するものにしていかなければなりません。  招聘した優秀な指導者の皆さんには国体後も、更なるジュニア世代育成と競技団体のレベル向上のため、滋賀県に尽力していただけるような体勢を整えておく必要があります。  また、国体主会場は国体終了後も、地域の皆さんに愛され誇りとなるようなものでなければなりません。観光集客の面からは、国宝の天守を仰ぎ見る世界に2つとないシチュエーションが活かされるよう、ホスピタリティーの充実に努力しなければなりません。  私は、犬上郡と彦根市の教育の充実と地域の総合産業としての観光振興の両面から、地域の未来のための国体開催という立ち場で、注視していきたいと思っております。

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