想うことなど……

近江猿楽 多賀座

2018.09.09

 『看聞御記(かんもんぎょき)』という室町時代の史料に、ちょうど600年前、応永25年(1418)に御香宮で「近江猿楽未満寺(みまじ)座」が演能したという記録があり、8月19日京都市伏見区の御香宮神社能舞台で「近江猿楽多賀座」の奉納公演が200人を越える観客に見守られながら行われました。
 猿楽は平安時代に誕生した能楽の先行芸能です。現在の能楽の古称として用いられ、能が狂言とともに能楽と総称されるようになったのは明治以降のことです。室町時代、近江には山階・下坂・日吉・敏満寺・大森・酒人の6座があり、『看聞御記』に記された「未満寺座」は「敏満寺座」。多賀町敏満寺を拠点に多賀社に奉仕する猿楽者集団で、近江猿楽6座のうちみまじ座は最も歴史ある座だということです。
 多賀座は平成5年(1993)、みまじ座の所在地が敏満寺にあったことを創座の由来とし、地元有志約20人で結成された現代の猿楽集団です。ちょうど25年前のことです。今年の御香宮神社奉納公演は、歴史に残る多賀座の記念すべき事業だったのです。
 私たちが感じる価値は、どのくらいの値段なのか、著名人の作品なのか、文化財に指定されているのかなどの情報だけで決められるものではありません。「世界とは、人間とは、心とは……、美しさとは……」、自分の心が素直に感じる価値、美しいと思う感覚を遡り、本気の夏を過ごすことができたかどうか、それらを判断基準にできるかどうか、次代の子ども達に恥ずかしくない議員でありたいと反省を繰り返しております。