ニューズレター

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2014年11月 9日発行

大切にしなくてはいけないもの

2014年10月14日・内閣府 庁舎にて有村治子氏と対談

すべての女性が輝く社会

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細江正人 女性活躍担当大臣に就任され誠におめでとうございます。細江まさとニューズレターの取材をお願いいたしましたところ、臨時国会序盤の大変お忙しいなか、早速お時間をいただきありがとうございます。限られた時間ですので、手短にお尋ねをさせていただきたいと存じます。

有村治子さん 女性活躍担当大臣というのは、政治的にも社会的にもそして国際的にも重要な新しいポストです。私は愛知川、現在の愛荘町の出身です。今回大臣として47都道府県の未来に責任を負う立場となり、全国区で13年間、さまざまな側面から日本を見てきたことを活かすことができます。

細江 早速ですが、私は本屋の跡取りです。中小の企業や小売業の友人が多いのですが、皆、今、最悪の状況というのが実感です。受け継いだ事業や家業を続けていくのが難しくなっているのです。サラリーマンの家庭でも所得が頭打ちになり生活への不安を抱えているのではないでしょうか。政府の成長戦略が、まだまだ末端までは届かず、逆に格差社会を助長し、国内需要全体は縮小し、経済の体力は落ちるのではないかと、また、大都市への人口集中に拍車がかかり、ますます地域間の格差も広がるのではないかと懸念しているのは私だけではなく、多くの方々が分析され議論をよんでいます。

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有村さん この分野は賛否両論があります。私は諸手をあげて賛成というわけではありません。私は成長戦略も、個々の幸せを実現していくことも、どちらも大事だと思っています。どちらか一方というのではなく、ひとりひとりが将来の夢を語ることができる国でなくてはなりません。このことが一番大切だと思っています。
 女性の力は、日本の最大の潜在力のひとつです。そこにスポットをあて「すべての女性が輝く社会」を目指し、全体としては企業なり地域なり日本の活力にしていく。
 私が安倍総理から官邸に呼び出されて受けた指示は、「すべての女性が輝く社会」を創るということでした。すべての女性が輝くためのパッケージを閣議決定し、記者発表させていただきました。そこには36の政策を打ち出しました。今まで女性の支援をする政策はありましたが、日本政府は何をやろうとしているのかを、全省庁あげての女性支援を、一元化したのは今回が初めてです。そして「独身で結婚したい」或いは、「ひとり親で養育費もままならない」「再就職したい」「介護との両立がたいへん」など、いろいろな状況の方々に、「私のことも見えているんだな」と思ってもらえる政策を打ち出していかなければなりません。パートなど非正規社員の方々に対しても能力開発やスキルアップできるよう、託児所があって小さいお子さんがいても仕事を探していけるとか、そういうこと少しずつですけれども、パイロットケースを増やし、実績を積みながら、全国展開するような、そういうことをやっていきたいと思っています。

細江 有村さんは大臣になられる以前から、女性が活躍できる社会を目指し、その重要性を指摘されていましたので、私たちは大きな期待を寄せるところです。

有村さん 細江さんは、女性を大事にされていますね。奥様のこともお嬢様のことも。奥様を家内というよりパートナーとして大事にしておられることに共感を持ってきました。

人口減少と地方

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細江 滋賀県の人口は、2040年には130万9千人(7・2%減)と推計されています。全国で3番目に少ない減少率です。今後、湖東地域が持続的に発展していくためには人口問題は避けては通れない問題です。

有村さん 滋賀県全体として、数字の上では他都道府県と比べると状況はまだいいのですが、人口問題や少子化など、まだまだ実感として迫ってこないのではないでしょうか。
 今、全国の地方自治体が人口減少に歯止めをかけようと取り組み、さまざまな指標が提示されています。しかし、他人の土俵で勝負をしていたら難しいです。日本で1番大きい湖といいますと、琵琶湖ですが、2番は? 日本で1番長い川は、日本で1番大きい山はというと富士山とでますが、2番は…出ないですよね。つまりナンバーワンしか覚えてもらえないということなんです。他府県の指標に振り回されるのではなく、滋賀県は絶対負けない指標を自ら作っていくことが大切だと思うのです。例えば、滋賀県だったら、公立図書館の一人あたりの年間貸出率は全国1位ですね。それは、滋賀県に住む、湖東地域に暮らしを求める、価値と誇りにつながっていきます。

細江 経済波及効果・雇用創出効果の高い観光産業に期待が寄せられています。歴史・文化・自然、滋賀県は先人から受け継いだ秀逸な資産や未評価の文化資源も多いのですが、充分なPRが行き届いていないようです。指標という点では観光も同じですね

有村さん 外でいわれている指標ではなく、滋賀県は、彦根は、犬上は、この分野で勝負するんだという絶対に負けない優位性の再発見が必要です。それは地域の特性であり、先ほども申しましたが湖東地域に暮らしを求める、価値と誇りにつながっていきます。1番しか覚えてもらえない人の記憶の厳しい現実を垣間みるとき、自分の土俵でナンバーワンのカテゴリーを創っていく。滋賀県まだまだポテンシャルがあると思います。知恵の出しどころだと思います。

細江 国宝彦根城も外国人の人気ランキングでは、トップ20にも入らない現状があります。ミシュランガイドでも彦根城は星が一つ。琵琶湖も湖東三山も彦根も海外からは観光地として認められていません。

有村さん ひこにゃんは、私の娘も大ファンですけれど、正直、熊本県はたくさんの中小の小規模事業者の活性化や、海外への売り出しなど、くまもんを使って非常に上手くやっています。熊本の同僚議員の話をきいていると、彦根市のひこにゃんだけれども、湖東地域、滋賀県全体がひこにゃんのメリットを享受できるよう、それこそもっともっと虎視眈々と戦略性をもっていいのかなという印象をもっています。情報は発信するところに集まります。情報が欲しいと思うのであれば、相応の情報を発信しなければなりません。人口問題も観光も、情報発信と共有の視点、ターゲットを見直すことで、良い方向に作用するのではないでしょうか。

細江 最後にお願いをひとつ。現在の世の中は全てがデータ化され分析され、数値で判断されていきます。データは明快な拠り所であることは確かです。しかし、実際に働いている人々、暮らしている人々の姿は数字からは見えてくることはありません。

有村さん 「私のことも見えているんだな」と思ってもらえる政策は、そういうところからしか生まれてきません。女性の活躍は日本の成長戦力の一環だと捉えている人もおいでになります。女性活躍も人口問題も表裏一体です。精一杯の取り組みをしたいと思っています。

細江 先ごろ発表された将来推計人口により、多賀町甲良町の町長さんも躍起になっておられます。「自分の土俵で勝負できるよう、自らナンバーワンのカテゴリーを創っていく」。大きなヒントをいただいた気がしています。全ての女性が輝き地方も輝く、そんな政策・施策がどんどん打たれることを願っております。本日はどうもありがとうございました。

 

死ぬまで元気な健康長寿社会を目指して

 9月定例会では、次のような観点から質問をしました。

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 「健康」といえば、まずは身体的なものを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。しかし、ただ表面上病気でなければいいというものではなく、肉体的にも、精神的にも、更には社会的にも、全てが良好な状態を健康というのではないでしょうか。  我が国は現在、男女とも平均寿命で世界最高水準を達成するまでになっていますが、今後、これまでにどの国も経験したことのない超高齢社会を迎えることになります。そして今や、QOL(Quality of Life)、すなわち生活の質、中身に、より多くの関心が寄せられるようになってきました。  このように、一人ひとりが心豊かに生き生きと過ごせるようにしていくためには、単に長寿であるだけでなく、「いかに健康で過ごすことのできる期間を長く保つか」すなわち健康寿命の延伸と、それによる健康長寿社会の実現が、今を生きる私たちにとって最重要課題のひとつだと考えます。  また、できるだけ健康な状態で過ごすことによって、結果的に医療・介護費用の増加を少しでも抑えることができれば、税や保険料負担の軽減につながるとともに社会保障の持続可能性も高まることとなり、これは個人にとっても国家にとっても望ましいことと考えます。

平成26年度9月定例会 細江正人一般質問

  1. 国が行う介護保険予防給付の見直しと地域支援事業の充実について、県はどのような意図をもって進められていると受け止めているか。
  2. 地域支援事業の充実には、多様な主体により多様なサービスが提供される必要があるが、市町が行うNPOやボランティアの発掘・養成・組織化の県としての具体的な支援は何か。
  3. 予防給付が地域支援事業に移行されることにより、市町の介護保険会計に大きな影響があるのではないか、県としてどのように考えるか。
  4. 特別養護老人ホームの入所希望者が、現にこれだけの数がおられることについて、知事はどのように感じているか。
  5. 特別養護老人ホームへの入所を希望されても受入れが追いつかない現実に、どのように対処しようと考えているか。
  6. 社会福祉法人に対し、県としてどのように指導、支援する考えか。
  7. 健康長寿社会を目指して滋賀県として、できることに停まらず、あるべき姿にむけてやらなくてはならないことについて

要介護者等のおでかけ支援の拡充を願って

  1. コミュニティバスやデマンドタクシーとの違いは何か。
  2. 介護施設がもつ自前の送迎との違いは何か。
  3. 県内の事業所数・運行台数の状況について。おおまかにどの地域にあるのか。
  4. この制度をどのように評価しているか。
  5. この事業を今後さらに充実させることについての課題は何か。
  6. その課題解決に向けて取り組み、支援を差し伸べてはどうか。

会議録は滋賀県議会のウェブサイトでご覧いただけます。

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