ニューズレター

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2016年1月11日発行

新年に、想うことなど「クラウド&リアル」

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 日頃からお世話になり、その心温まるご支援に感謝申し上げ、「彦根を元気に」「湖東を元気に」そして「滋賀を元気に」を念頭にますます努力精進する所存でございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

世界のリアルを直視しよう

 「IoT(Internet of Things)」「インダストリー4.0」「フィンテック」「シェアリング」…… 1964年、東京オリンピックが開催された当時、高校生だった私にはかなりきついキーワードに溢れた昨年でした。世界はインターネット・クラウドを活用した技術で激変しようとしています。ものづくりやサービス、マーケティングの現場では、私たちの与り知らないところでコンピュータがネットワークを組み、刻々と最適化が行われています。その流れは加速化し、もはや止めることはできません。
 一方で、人口減少・都市間格差の重要課題を抱えた自治体は地方創生を唱え、交流人口の拡大を目標にしたインバウンド需要に応えるため、観光産業、広域連携、DMO(Destination Marketing / Management Organization)など、新たな発想とスキーム(計画を伴う枠組み)で、様々な取り組みが具体的になってきた昨年でした。
 また、音楽に無知な私にも聞こえてくることがあります。ゆるキャラⓇまつり in 彦根の公式テーマソング「キミノスムマチ」でも有名な越中愛さんが、12月16日、彦根学園でのクリスマスコンサートで利用者の皆さんと合唱。米原のシンガー・ソングライター岡田健太郎さんが自宅のホールに大分県や長崎県の友人を招いて年忘れコンサートを開かれたことや、多賀町高取山ふれあい公園において、クロアチア出身の男性バイオリニスト、ゾラン・ヤコブチッチさん(コロンバス州立大シュオブ音楽院教授)、ジュリアード音楽院でピアノの個人教授を務める早水和子さんを迎えたコンサートが開かれるなど、市民レベル、個人レベルでの活動も盛んに行われています。  インバウンド誘致とも関連しますが、地域の歴史や文化を再発見するプログラムやものづくり体験のプログラムなど、地域の人々が地元の魅力を発掘・再評価し、独自のルートを設定し商品化するコミュニティーツーリズムが、観光集客による経済効果だけでなく、地域ブランドの向上や市民活動の活性化の手段として注目されています。
 政治は勿論、様々なデータを活用して判断します。そして、それは地方自治体とはいえ命を預かる判断で、生身の人が生きているリアルな現実に反映します。政治は、演算の結果を基に世の中の最適化を目指すものではなく、リアルな現実を直視し、1ミリでも世の中がよくなるよう、判断することが使命だと考えています。故に、政治家の資質がいよいよ問われることになります。

オリパラと国体

 2020年のオリンピック・パラリンピックを「オリパラ」と言うそうです。世界の人々に日本の素晴らしさを知っていただくまたとない機会であると同時に、私たち自らが日本の文化を見直す機会でもあります。
 あまり知られていませんが、オリンピックはスポーツだけではなく文化の祭典でもあります。クーベルタンの理念は「The Olympics is the wedding of sport and art」です。東京オリンピックでは、「日本最高の芸術品を展示する」という基本方針のもと、東京国立博物館において「日本古美術展」が開催され、約40万人が来場しています。この展示に、湖東三山のひとつ金剛輪寺本堂「大悲閣」の模型が展示されたことを知る人はほとんどいません。
 文化プログラムは、直前のオリンピックが終わったときから、4年間の「カルチュラル・オリンピアード(Cultural Olympiad)」と呼ばれる期間に実施されます。ロンドンオリンピック開催までの間、イギリス全土で実に18万件の様々なプログラムが実施され、「ロンドン・プラス(London Plus)」という観光キャンペーンが展開されました。
 私は今、オリパラ、滋賀国体というビックイベントを、近江の文化を私たち自身が見直し再発見することでより市民活動が活性化した結果、インバウンド需要に応え、滋賀を世界に発信することに寄与できないかと念じています。滋賀県独自の文化事業の展開について議会質問の機会も増えるかと思います。皆様のお知恵もおかりしたく思っております。  データに反映されることのないリアルな現実を直視し、2016年も、県会議員として精一杯務めて参ります。どうかご支援とご協力を、至らぬ点は叱咤、アドバイスをお願いし、年頭のごあいさつとさせていただきます。

細江正人 一般質問 2015.12.10

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 12月定例会では、「滋賀国体に向けた取り組みについて」「公と民が行う資源回収の仕組みづくりについて」の2つのテーマについて質問をしました。

 (仮称)彦根総合運動公園整備基本計画が策定され、いよいよ基本設計に着手されることから、改めてその考え方と進捗状況等を県民・市民に広く知っていただき、共有するために、施設整備中心の質問をしています。

  • 国体の競技に供する体育施設について
  • 国体競技会場のマッチングと協議会運営について
  • 民間の投資を仰ぐ条件整備について
  • 国体主会場の整備について

 特に「景観への配慮について」「主会場整備に伴う周辺交通環境への影響とその対策」「商業活動を含めた賑わいの創出」「競技場の夜間利用」についての質問に関しては、具体的な進捗はなく、全てが検討段階であり、彦根市の世界遺産登録進捗と合わせて、今後の動向を注意深く見ていきたいと思います。

 昨年6月の「環境・省エネ・節電、三方良し、の発電効果について」の質問に引き続き、エネルギーの地産地消の実現を目指し、また、新たなエネルギー産業の振興が交流人口・定住人口の増加、雇用の確保に直結するよう「滋賀モデル」の創造に願いを込め質問をいたしました。COP21のタイムリーなニュースに触れ、県の温暖化対策のホームページに「滋賀県における温室効果ガス排出実態について」速報が出されておりましたので、抜粋してパネルにし提示も行いました。

  • 温室効果ガス90年比の増減に関して
  • 廃食用油の回収について

 特に、廃食用油(天ぷら油)などの植物油から製造される軽油代替燃料(バイオディーゼル燃料・BDF)に注目し、廃食用油を効率よく回収するには仕組みを作れば良いと考えています。平成25年の廃食用油回収量について環境省の統計では、県94トンの内、彦根市で31トンその約半分近くを1店のスーパーで回収しています。効率の良い回収の仕組み作りで廃食用油回収量をふやすことができる可能性を感じています。
 これに対し知事は「廃食用油など従来ごみとして排出されていた資源を回収し、再生利用する活動は、温室効果ガスの削減や循環型社会の構築の観点からも大変望ましいことである。また、地域の資源の循環利用とは、地域経済にとってもメリットがあると考えている。県としても、法に基づく適正な利用を前提としつつ、廃食用油のほか様々な資源回収の取組の重要性をしっかりと周知していく」と回答されました。
 廃食用油回収の取り組みは、BDF精製装置のクオリティやプラントの能力検証と向上、BDF仕様のエンジン開発の可能性の研究とマーケティングなど「滋賀モデル」創造へのスキームがあってこそ、廃食用油回収は加速度的に実現するものだと思います。地域経済への波及があってこそ、公と民が行う資源回収ではないでしょうか。

署名運動開始!! 彦根駅西口1階に定期券専用の改札口を!

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 昨年、8月15日発行の「細江正人NEWS LETTER vol.15」で、「彦根駅は、一旦、3階の自由通路へ昇り、改札を通りプラットホームへの階段を降りる構造になっています。西口の駅前広場は1番線ホームと同じ高さで、ところによってはフェンスで区切られているだけです。ここに改札を設ければ、往復のどちらかは3階まで上がり降りすることなく、利用することができるのではないでしょうか。また、混雑緩和と利便性も格段に向上します。そこで1階のプラットホームに直接出入りできる改札口の設置に向けた運動を展開していきたいと思っております。」と、私の思いを書かせていただいたところ、多くの方々のご賛同をいただき、署名運動を展開する運びとなりました。
 『JR西日本におかれましては、日頃から「安全・快適」に私たちの通勤通学をご支援いただき誠にありがとうございます。私たちはJR彦根駅を通勤や通学に毎日利用しております。現改札口への階段は46段、ホーム45段あり、上りプラットホームに直接の出入り口ができますと毎日91段の昇り降りが不要となり、鉄道利用者にとっては混雑緩和と利便性が向上します。つきましては、彦根駅西口1 階にぜひ改札口を設置していただきますよう、裏面に賛同者の署名を添えて要望いたします。』という旨の要望書を作らせていただきました。
 署名用紙はホームページからダウンロードしていただけます。署名回収BOXは呼びかけ人のところにも設置しております。
 ぜひ、ご賛同いただき、ご一緒に設置要望署名運動を進めましょう。ご協力とお手伝いをいただけましたら幸いです。

常任委員会県外調査報告

広島がん高精度放射線治療センター

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 広島県では「どこに住んでいても、どんながんであっても、必要な手だてや情報を受けることができ、安心して暮らせる県」「県民みんなが、がんを自分にも起こり得ることとして関心を持ち、それぞれの立場で予防や検診も含めた『がん対策』に取り組む社会をつくること」を基本理念とした「広島県がん対策推進計画」を推し進めています。
 昨年11月13日、滋賀県議会厚生・産業常任委員会の県外調査で、広島県立広島がん高精度放射線治療センター(HIPRAC)を訪ねました。一般社団法人広島県医師会が運営し、広島大学病院、県立広島病院、広島市立広島市民病院、広島赤十字・原爆病院、その他のがん診療連携拠点病院と連携したネットワーク型がんセンターとして高精度の放射線治療を行っています。
 施設は山陽新幹線広島駅のすぐ前に立地し、事業費は58億8千万円。最も注目すべきは高精度放射線治療機です。三菱重工製1台米国バリアンメディカルシステムズ社製の2台、購入費は3台合計19億9,756万円です。多額の整備費用を必要としますが、有効に効率よく活用することで、多くの患者の受診を可能にし、早期回復を図ることができます。
 長野県と広島県はがんの罹患率が高く、がんでの死亡率が低いという調査結果があります。早期発見のおかげで罹患率は上がり、早期治療のおかげで死亡率が低い結果といえるでしょう。
 滋賀県議会も広島県と同じように「滋賀県がん対策の推進に関する条例」を制定し早期発見早期治療の啓発に努めております。

琵琶湖再生法と水ビジネス

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 琵琶湖の環境改善を図る「琵琶湖再生法」は2015年9月16日の参院本会議で全会一致で可決成立しました。
 この法律では、琵琶湖を「近畿圏の治水・利水に重要な役割を担い、貴重な自然環境、水産資源の宝庫」と位置づけ、国が保全再生に向けた基本方針を定めることを明記し、滋賀県が基本方針に沿った保全再生計画を進める際、国が必要な財政支援を行う、としています。
 滋賀県議会厚生・産業常任委員会では水ビジネスに向けての先進事例を視察に平成27年11月12日に北九州市小倉のウオータープラザを調査しました。
 この施設は北九州市小倉北区西港町日明浄化センター内にあり、デモプラント(海水淡水化と下水の浸透膜処理を組み合わせた造水システム)とテストヘッドと呼ばれる他のベンチャーに提供する小さなスペース5区画から成っています。
 建設段階から多くの関心を集め、延べ約4,800名、そのうち、海外からも70カ国、約1,100名が視察に訪れるほど、先進的な施設でした。
 滋賀県も官民一体となって、水処理関連のプラントなどのインフラ輸出を目指した「水ビジネス」だけではなく、水環境保全に係る水処理装置や分析機器の開発、モニタリング、汚水処理施設の管理運営、省エネルギー化など、水環境分野のビジネスを含めたものを「水環境ビジネス」として取り組んでいます。

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