ニューズレター

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2019年3月 2日発行

究極のブランディングで、交流人口を増やす

都市のブランド 

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 少子高齢化による人口減少が急速に進む現在、全国の市町がそれぞれの特色とアイデアを活かし、地域振興策として、観光客誘致に取り組んでいる。地球規模で人々が移動する時代となったのだ。観光産業は経済波及効果が大きく、地域活性化の切り札として、極めて裾野の広い魅力的な産業で、工業立県として発展してきた滋賀県も、成長戦略の柱としている。定住人口の維持を目指しながら、交流人口を増加させることで、経済の再生を図ろうとするものだ。
 もう少し具体的にすると、日本の生産年齢人口は40年後には現在の7700万人から4400万人(42.5%)に減少すると予想されている。おおよそ生産人口1人に対して1人の高齢者を養っていかなければならないことになり、所得を倍ほどに上げなくては現在の生活水準を保てなくなる。打開策として最も期待されているのが、負担が少なく費用対効果が高い観光産業の振興で、インバウンド誘致もそのひとつだ。
 都市のブランド化、ブランド力を高めるということは、「都市(地域)の価値」を高めるということである。ブランディングは、彦根に対する市民の「誇り」「郷土愛」を呼び覚ますことができるだろう。創業、既存の企業の活動が活性化し、彦根への投資が活発化する状況が生まれ、「人口減」「地域経済の停滞」「雇用問題」など、地域の課題解決につながり、都市の好循環が生まれる。

彦根城の世界遺産登録

 世界遺産は、現在を生きる世界中の人々が過去から引き継ぎ、未来へと伝えていかなければならない人類共通の遺産であり、遺産の保存・保護を目的としたものだ。世界遺産は都市の究極のブランドでもある。
 彦根市では2024年の彦根城の世界遺産登録を目指した取り組みが進んでいる。登録が実現すれば、文字通り「プレミアム・ブランド」であり、「都市」の価値が証明されることになる。
 しかし、世界遺産登録がゴールではない。世界遺産というブランドを手にしたとき、世界遺産の価値を守りながら、いかに都市の価値を高めていくかを、世界遺産登録前に充分に考えておかなければならない。
 「保存か観光か」という二者択一ではない新しい視点が求められている。住む人にとって豊かな生活空間を創り出すことは、結果として観光客にとっても魅力的な空間となる。また、その逆も真である。
 しかし……、世界遺産に登録され多くの観光客が訪れたとしても、訪れる人々を充分に満足させることができなければ手に入れた究極のブランドは即時に崩れ去ることになる。世界遺産都市として基本的なホスピタリティが必須となることを市民も県も市も、覚悟しておかなければならない。

 

 私は、彦根城の世界遺産登録を推進し、県と市、行政と市民(民間)のパイプ役として、都市の好循環が生まれるよう是々非々で判断していきたいと考えています。

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