ニューズレター

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2015年3月30日発行

美しいまち

 もう数十年前のことですが、「美しいまち」とは何かという講演を聞いたことがあります。

  • 寄り合いが盛んであるまちであること
  • 若い人が活発に生き生きと活動しているまちであること
  • ボランティアが盛んであること

 景観の美しさ以前に、私たちの暮らし方、生き方に及ぶ話で、このような三つの営みがあるまちが、本当に美しいのだという話でした。私はこの美しいまちの営みの現場に居合わせたことがあります。
 2013年9月18日に滋賀県全域を豪雨が襲い、山間部から流れ出た琵琶湖の漂流物は、彦根市だけでも約400トンに及びました。日頃ボランティア活動をしている友人の十河勇一さんは、漂流物の集積・回収・運搬を民間ボランティアのみで行うことを計画し、災害ボランティアチームや仲間にフェイスブックや電子メールで呼びかけ、10月7日に作業、9日に清掃センターへ搬入、以降毎週、集めた漂流物の搬入は5回を数えました。更に年明けにはその後の漂着物の引き上げを実行され、参加者は延べ250人にのぼりました。私も及ばぬながら現場でお手伝いをさせていただきました。
 2014年2月定例会一般質問において私は、心ある方々に感謝し、今後もこの力が充分に発揮できるような仕組みを模索すべく議論を試みました。そして、「琵琶湖湖岸への漂着物の問題」についての成果として、「琵琶湖湖岸漂着物美化活動研究会」が組織されることになりました。研究会は会合を重ね、ボランティアで回収した漂着物の処分等の手引書を作成することになりました。
 議員は「質問し提案」することで私達の暮らしをより豊かな方向へと導いていくことができます。

投票することで変わる未来

 日本の選挙制度の歴史は、1889年に始まり、直接国税15円以上納める25歳以上の男子が有権者となることができました。1900年には直接国税10円以上納める25歳以上の男子、1919年には直接国税3円以上納める25歳以上の男子、1925年に25歳以上の男子全員に選挙権が与えられました。財産による差別は無くなりましたが女性には選挙権がありませんでした。20歳以上の男女に平等に選挙権が与えられたのは1945年の選挙法改正後のことです。
 投票することで変わる未来が確かにあります。私たちに与えられた選挙権を放棄することなく、投票に行っていただきたいと願うばかりです。
 共に力を合わせ、より良い湖国を創っていきましょう。

地方の格差と人口問題

 滋賀県の人口は、2014年には130万9千人(7・2%減)と推計されています。全国で3番目に少ない減少率です。人口問題や少子化など、まだまだ実感として迫ってこないのが現実ではないでしょうか。しかし地方の格差と人口問題の解決は地方創生に取り組む各自治体の最優先課題です。滋賀県も例外ではなく、今後、数々の政策が計画・実行されていくことになるでしょう。特に、経済波及効果・雇用創出効果の高い観光産業に期待が寄せられています。
 一方、人口問題や少子化と連動して取り組まなければならないものに、超高齢化社会への対応があります。
 「健康」といえば、身体的なものを思い浮かべることが多いのですが、表面上病気でなければいいというものではありません。肉体的にも、精神的にも、更には社会的にも、全てが良好な状態を健康というのではないでしょうか。
 我が国は現在、男女とも平均寿命で世界最高水準を達成するまでになっていますが、今後、これまでにどの国も経験したことのない超高齢社会を迎えることになります。そして今や、QOL(Quality of Life)、すなわち生活の質、中身に、より多くの関心が寄せられるようになってきました。 このように、一人ひとりが心豊かに生き生きと過ごせるようにしていくためには、単に長寿であるだけでなく、「いかに健康で過ごすことのできる期間を長く保つか」、すなわち健康寿命の延伸と、それによる健康長寿社会の実現が、今を生きる私たちにとって最重要課題のひとつだと考えます。
 私は、特に、観光を地域の総合的産業として捉え、「是々非々」の信条の元、地道に積み上げていくことができる議員であることを心がけてまいります。

観光で交流人口を増やす

 少子高齢化による人口減少問題がクローズアップされるなか、観光産業は地域振興策として、全国の市町がそれぞれの特色とアイデアを活かし、観光客誘致策立案に取り組んでいます。今後、地球規模での人の交流が増加すると予想されています。定住人口の維持を目指しながら、交流人口を増加させることで経済の再生を図ろうとするものです。
 観光産業は経済波及効果が大きく、地域活性化の切り札として、極めて裾野の広い魅力的な産業として認識されています。工業立県として発展してきた滋賀県も、成長戦略の柱として取り組んでいくことを決定し、2014年『滋賀県「観光交流」振興指針』が策定されました。
 また、交流人口を増やす有効な手段のひとつにロケ誘致があります。
 暗いニュースの多い中で、明るく可能性を感じさせてくれたのが、映画「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」の撮影地となった滋賀県が、2014年の「ロケーションジャパン大賞」のグランプリ受賞でした。過去のグランプリには、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(高知県、2011年)、連続テレビ小説「あまちゃん」(岩手県久慈市、2013年)などがあります。
 「るろうに剣心」は、前後編2作とも300万人以上を動員し、昨年の実写邦画の興行収入で上位を占めました。彦根城(彦根市)や日吉大社(大津市)など国宝を持つ名所を含め、県内で重要なシーンが多く撮られたこともあり、「伝説の最期編」での誘客は、封切り後の2014年9月・10月は、日吉大社の場合、前年同期比1・4倍以上に。ロケ地の一つ、日野城跡(日野町)も1.5倍以上に伸ばしています。
 県などが2002年に設立した「滋賀ロケーションオフィス」を通じて誘致に成功。文化財で撮影する調整などがスムーズで、同オフィスが自ら県内ロケのシーンを集めた予告編や県内のロケ地をたどる地図を作るなど、発信と誘客の工夫も称賛されたと報道されましたが、昨年4月、細江まさとニュースレター(Vol.10)で紹介した、目加田宗彦君や和田一繁君等が中心となり撮影協力を行った「彦根を映画で盛り上げる会」の活躍も大きかったのではないかと思います。
 滋賀県は元々、京都の撮影所に近く、時代劇のロケスポットなどもありましたが、2013年度だけでも、同オフィスの誘致で撮影が実現した作品はCMも含めて89本ありました。ロケ日数は計277日。2009~2013年度の5年間の撮影実績は360本にもなるといいます。撮影支援に取り組む全国のフィルムコミッションでも、278団体中15位と健闘しています。
 交通アクセスが良く、昔ながらの里山風景や歴史的建築物などが多いのが強みです。同オフィスは候補地を地域別に登録し、湖岸、寺社仏閣、廃虚などの内訳で300以上をホームページで公開。先ほども触れたように地元の炊き出しなど撮影スタッフへのもてなしも温かく、滋賀県ファンになる監督も多いと聞きます。彦根市のフィルムコミッション室はじめ、豊郷町には「けいおんでまちおこし実行委員会」や甲良町、多賀町の観光振興部局や行政区域にとらわれないボランティアグループの活動が功を奏しているのでしょう。

 滋賀県は、新幹線や高速道路などのインフラに恵まれているにもかかわらず、観光誘客には伸び悩んでいます。観光資源として未開拓な部分が多く、未評価の資源も含め、今後どのように輝かせみ魅力あるものにしていくかが課題といえます。
 私は一県議会議員として、観るべき処に光をあて、ロケが増え、映像を通してますますアピールしていけるような支援体制を創り上げていきたいと思っています。また、滋賀県らしい訪日外国人誘客を視野に入れた観光施策において、県と彦根・犬上の地域がより輝くよう、判断し提案をしていきたいと考えています。

ファットリアたけぽん

 中山道鳥居本の宿を一集落高宮へ向かうと、鈴鹿山系と佐和山山麓に挟まれてやや狭くなるところに小野小町の出生地とする小野という集落があります。伝説を伝えるこまち塚は江戸時代の「木曾名所図会」にも紹介されています。
 ここ小野荘の酒米出荷者8農家で育てられた水稲「日本晴」を使って、豊郷町吉田の岡村本家ではマイナーブランドの「こまち」という清酒を造っておられます。
 新酒のできるこの季節には小野荘ゆかりの人々が毎年岡村本家の遊亀亭で新酒祝宴会を催されています。私も縁あって今年もご相伴にあずかりました。岡村本家蔵しっく館へ向かうそのバスで、たまたま私と隣り合わせた青年が鳥居本町宮田でイチゴ農家を営んでいるという方でした。
 その青年のご両親は故郷を離れて大阪で家庭を持っておられ、青年は大阪のイタリアンの店で働いていました。独立を考えるとき、父親の故郷で祖父母の営む農業をやろうと考えたとのこと。但し水稲ではなく野菜やイチゴの栽培でした。
 「ファットリアたけぽん」と命名した畑でのイチゴ収穫はまだ2年目とのことでしたが、畑に来て買ってくださった方のリピートやその紹介者、また市内の業務店に直納、遠隔地へは宅配便と順調のようです。バスの中で目を輝かせてイタリアンレストランのオーナーシェフに教わったネーミングのことや自分の考える経営のポリシーを熱く語ってくれました。私は、彦根でトマトに特化してレストランに直納するなど素晴らしい農業経営をされている方の話と重ねて聞いておりました。

 多くの米作農家では平成26年産の米価の概算払いが下がり、大変窮しておられると聞きます。農林水産省は平成26年度補正予算案に米価の下落対策として計516億円を盛り込む方針を明らかにしていますが、26年産米は平均取引価格の下落が続いているようです。
 滋賀県独自の環境こだわり米づくりや農工商(一次、二次、三次)連携の六次産業化など滋賀県としての取り組みも注視しなければなりません。

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