ニューズレター

ニューズレター Vol.22 PDF版はこちら

2018年9月 9日発行

2018年夏、想うことなど!!

 9月4日の台風21号で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。被害は想像以上に大きく、台風の速度がもっと遅かったらと考えるとぞっとします。ボランティアの支援活動も数多くなり、資金の応援も理解者が増えていますが、災害に対する新しい公のあり方というものについて深く考えていきたいと思っています。

甲子園 選手宣誓

news22_2.jpg

 さて今年の夏、猛暑のなか忘れられない出来事のひとつは、近江高等学校野球部主将中尾雄斗さんの選手宣誓でした。私たちの若い頃とは違い、しっかりと自分の思いを言葉に、琵琶湖ブルーのユニフォームが甲子園に映え、心に残りました。
 「私たちはいま、100回という長く、重みのある歴史の上に立っています。数多くの災害に見舞われ、人々にとって笑顔だけでは乗り越えることのできない悲しみがありました。しかし、甲子園は勇気、希望を与え、日本を平和にしてきた証です」。
 乗り越えることのできない悲しみがあることを知っている……。その悲しみを抱えながら生きていくことを、私は教えられた思いがしました。その上で、「野球ができることに感謝し、多くの人々に笑顔と感動を与えられる、最も熱い、本気の夏にすることを誓います」と、淡々と結んだ言葉に、私は震えたのだと思います。そして、近江高等学校野球部の甲子園での戦いはまさに、そのことを具現していました……。

彦根城 世界遺産登録

 平成4年(1992)に暫定リストに掲載された彦根城の世界遺産登録については、ニュースレターで幾度もお伝えしてきましたが、彦根市は2024年度に彦根城の世界遺産登録を目指すなか、「意見交換・応援1000人委員会」が設立され、世界遺産登録を盛り上げる取り組みが始まりました。彦根商工会議所は7月8日に初めて「世界遺産検定」を彦根で実施し、12月16日にも実施することが決定されています。
 本年7月に「世界文化遺産」に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、長崎県・熊本県が各市町と連携して登録に向け多額の予算を計上し、ICOMOSアドバイザーを招聘するなど、彦根城の世界遺産登録へ向けた動きとは異なったものがありました。
 彦根で世界遺産登録を目指した様々な取り組みが行われるなか、市も県も登録の目標年次に合わせて、新たな事業としての予算措置の必要を実感した次第です。
 彦根城下は観光シーズンになると僅かの日数とはいえ交通麻痺になり、市民生活に大きく影響して、観光客に来て欲しくないと思う市民の声も聞こえます。城下町の景観は守りながら、住民によるまちづくりを進めていかなければと思います。

近江猿楽 多賀座

 『看聞御記(かんもんぎょき)』という室町時代の史料に、ちょうど600年前、応永25年(1418)に御香宮で「近江猿楽未満寺(みまじ)座」が演能したという記録があり、8月19日京都市伏見区の御香宮神社能舞台で「近江猿楽多賀座」の奉納公演が200人を越える観客に見守られながら行われました。
 猿楽は平安時代に誕生した能楽の先行芸能です。現在の能楽の古称として用いられ、能が狂言とともに能楽と総称されるようになったのは明治以降のことです。室町時代、近江には山階・下坂・日吉・敏満寺・大森・酒人の6座があり、『看聞御記』に記された「未満寺座」は「敏満寺座」。多賀町敏満寺を拠点に多賀社に奉仕する猿楽者集団で、近江猿楽6座のうちみまじ座は最も歴史ある座だということです。
 多賀座は平成5年(1993)、みまじ座の所在地が敏満寺にあったことを創座の由来とし、地元有志約20人で結成された現代の猿楽集団です。ちょうど25年前のことです。今年の御香宮神社奉納公演は、歴史に残る多賀座の記念すべき事業だったのです。
 私たちが感じる価値は、どのくらいの値段なのか、著名人の作品なのか、文化財に指定されているのかなどの情報だけで決められるものではありません。「世界とは、人間とは、心とは……、美しさとは……」、自分の心が素直に感じる価値、美しいと思う感覚を遡り、本気の夏を過ごすことができたかどうか、それらを判断基準にできるかどうか、次代の子ども達に恥ずかしくない議員でありたいと反省を繰り返しております。

県立高校の冷房の早期完備を!!

 昨年度、県立高等学校に冷房を完備することが決まりましたが、財政上の理由からこの空調設備設置事業は29年度から5カ年かけて順次整備されることになりました。既に、PTA等により普通教室に空調が整備されている高校は17校。県の空調設備設置事業で30年7月に稼働したのが、高校3校・特別支援学校4校です。31年度の稼働予定が高校4校、特別支援学校10校で、残る22校の空調の整備予定は31年度から32年度となります。
 7月定例会議に、海東英和議員から「県立高校の空調設備の設置を急ぐ責任について」と題し、後年度分を繰り上げて整備すべきとする一般質問に、知事は「計画どおり粛々と進める」と答弁されていました。
 8月28日の9月定例会議に向けた恒例の自民党滋賀県議会議員団と知事との政策協議会の場において自由民主党県議員団は災害とまでいわれた今年の暑さに鑑みて、残る3カ年度分を繰り上げて冷房の早期実現を要望しました。知事はこれまでの方針を改め9月定例会議に補正予算として提案されることになったのは報道のとおりです。
 行政の事業単位は年度であり、4月に始まり3月に終わります。行政年度で予算の執行を進めますと、ものによっては1年遅れて利用することになってしまいます。高等学校の空調設備設置事業など1学期にできあがっていないと意味がありません。来年の夏には間違いなく利用できるようにという自民党県議団・会派長・政調会長の意見を受け9月11日の1週間前議運に「空調設備設置事業補正予算」の提案が出てくれば、一刻も早く事業に掛れるように、初日に議決することにしたいと思います。
 十分な審査もなく議決するということは災害対応など特に緊急を要するときだけですが、まさにこの猛暑は命に関わる災害です。早急に議決することにより、たとえ来年6月に30度を超える真夏日があっても、すべての高校生が快適な環境で勉学に励むことができるよう努めたいと思います。
 将来を担う子ども達のため、学習環境の整備は最優先事項です。空調整備だけでなく、様々な改善が進むよう取り組んでまいります。

滋賀県議会の歴史と組織の役割について
議会運営委員長になって感じたこと

news22_3.jpg

 滋賀県の議会は、明治11年7月太政官布告の府県会規則に基づいて設置された。当時滋賀県は日本海に面していた。明治14年に大飯郡以下4郡が福井県に管轄替えになったため、議員定数が減少、また伊香、西浅井郡の議員定数も変更され、総定数は52人とされた。風格のある現在の県会議場は県庁舎と同時に昭和14年に建築されている。
 昭和22年5月新憲法と地方自治法が同時に施行され、地方公共団体は高く位置づけられ、議決機関としての地方議会の権能も著しく拡大強化されることになった。議員定数42人は、人口増などにより漸増し47人になっていたが、いずれも法定上限数より少なく設定されてきた。地方自治法改正により、平成27年統一地方選挙から町の区域を市に合区して定数を見直し現在の議員定数は44人となっている。
 「細江正人NEWSLETTER vol.10」に掲載のとおり滋賀県は通年議会を採用している。年度初めに知事の招集により年間の会期が始まり、議会運営委員会において各定例会の期間および日程を決める。
 議員を代表し本会議の議事を仕切るのが議長である。やはり滋賀県議会議員に対する支援者の期待はそれぞれ支援する議員が議長に就任することのようだ。近年は申し合わせにより1年交代になっており今年度は川島隆二第98代議長である。
 議員は5つの常任委員会と4つの特別委員会にそれぞれ別れて所属する。常任委員会は行政の部局を分担して議長が負託する所管議案の審査などを行い、特別委員会は特定の付議事件を決めて継続して調査し、正副議長・議会選出監査委員の3名は所属しない。それらとは別枠で議会運営委員会があり、議会の運営に関する事項や会議規則、委員会に関する条例に関する事項、議長の諮問に関する事項を扱う。また議会で取り上げる議題について審議し、本会議の運営や休憩時間のタイミングなど議長に進言する。
 会派である自由民主党滋賀県議会議員団では、会派正副代表・政務調査会・役員会・代表者会・他、広報・研修・財務等担当役員と関西広域連合議員があり、今年度は西村久子議員が関西広域連合議会議長に就任。他の会派にチーム滋賀、公明党議員団、良知会、共産党滋賀県議会議員団がある。
 議会運営委員会は議会運営の要だが有権者には見えにくい。議会選出監査委員と同じく議会運営委員長も目立つことのない大事な役割だと思う。

ニューズレター Vol.22 PDF版はこちら