ニューズレター

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2020年3月29日発行

新たな期の始まりにあたって

蟻の眼から鳥の眼に

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令和2年2月定例会議

 私は、平成29年度は自民党滋賀県議会議員団の政務調査会長、平成30年度は滋賀県議会、議会運営委員会委員長としての要職につかせていただいてきました。これは会派内において基本的には辞退しない限り、議員の期の順、同期では年齢順という申し合わせによるものです。そして、平成から令和に元号がかわった、令和元年5月10日の招集会議(通年議会の始まり)において、投票の結果第99代議長に生田邦夫議員、第110代副議長に細江正人と決定しました。
 6月、9月、11月、2月の年4回の定例会議では、4日間ある一般質問の2日目と3日目の午後、代理の議長を務めました。議事の進行において、アッと気付くときがあっても、瞬時に指摘することができず、反省することしきりです。議場には魔物がいるといわれますが、言い訳でしかありません。職務を全うできるよう精進いたします。
 県議として期を重ねることができ、全体のこと、他の議員の着眼点や質問の意図を冷静に分析することができるようになり、少し先の未来を俯瞰できるようになったのではと感じています(年の功ともいいます)。
 特に令和2年2月定例会議では、人それぞれの仰ることに感心することも多く、判断に悩んでしまう場面もありました。自分自身が確信を持てるよう、経験値だけでなく、信頼できるデータの蓄積と、日々のアップデートを肝に命じた次第です。一議員として地域のことや業界団体のことに関わらせていただき、アップデートには欠かせない機会であると感謝しております。

令和の回想と始まり

 昨年は、天皇の御代替りに際して様々な儀式が執り行われました。最も印象に残ったのは「即位礼正殿の儀」で高御座から即位を国内外に宣明されたそのとき、激しく降っていた雨があがり皇居の上空にドームのように虹がかかって、とても神々しく感じた瞬間でした。また、ラグビーワールドカップが日本で開催され、流行語大賞にもなった「ONE TEAM(ワンチーム)」の活躍は、にわかファンの私も熱くなり、素直に喜ぶことができました。
 一方、地球温暖化に伴う気候変動により自然災害も年々激甚化し、2011年の東北大震災以来、復興の途上にある地域にも容赦なく災害は襲いました。新型コロナウイルスの感染拡大も、今までに経験したことのない驚異となりました。自然の恩恵を忘れず、新しい時代の危機管理が必要であると感じています。

 さて、世界規模で新型コロナウイルス感染の拡大により、東京オリンピックの開催延期が決定されました。経済への影響も深刻で、不要不急の外出自粛で消費関連の売り上げは落ち込み、そればかりでなく、サプライチェーンの崩壊により製造業にも影響が出ています。しかし、依然として流行は明確な収束に向かっておらず、どこかの地域を発端として、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行となる可能性があり、憂慮すべき状態が続いています。
 人の命に関わる問題であり、事態を深刻に受け止め、ひとり一人が「自分が感染しない・感染源にならないこと」を真剣に心掛けることが大切です。そのことが、感染の一刻も早い収束への手段であり、地方再生の最短の道であると考えています。
 既に大打撃を受けている事業者のために急遽県独自の緊急経済対策資金も用意されました。詳しくは商工会議所・商工会へお尋ねください。私も一議員として尽力させていただきます。

 新たな期の始まりは、議員として何ができるのかを問われているように思います。

ICT活用によるペーパーレス化の推進とITリテラシー

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 生田邦夫議長は就任当初から議会のICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)活用によるペーパーレス化の推進を提唱されていました。しっかりとした道筋をつけていくためにも、県議会代表者会に諮り、議会改革検討委員会を立ち上げ、諮問することを了承されました。  情報化社会の進展に伴い、議会審議の充実、ペーパーレス化、情報共有、資料活用の効率化等を目的に全国の都道府県議会ではタブレット端末導入によるICTを活用した取り組みが拡大しています。こうした状況を踏まえ本県においてもICT化を一層推進する観点から県議会でのタブレット端末の導入について議会改革検討委員会を設置し、検討を行うというものです。  今回の県議会のICT化の推進は、コピーやワープロが登場したときのような利便性の向上といった次元の話ではありません。タブレットを導入するだけでなく、情報や技術をどのように活用するかが重要です。PCやタブレットなどの情報端末を設置し、接続環境を整備しただけでは、ICTを実現したとはいえません。単にペーパーレスにすれば終わりというものではないと考えます。費用対効果のコストパフォーマンスを吟味し、その活用を設計していかねばなりません。

議員に求められるITリテラシー

 ITリテラシーは、通信・ネットワーク・セキュリティなど、ITに関する事柄を理解する能力、操作する能力のことをいいます。パソコンやアプリケーションを使うことができる能力、また、最近では「ウェブ・マーケティング」という言葉を聞くことも多いですが、そういう概念の把握もITリテラシーといえるのではないでしょうか。  キーボードやマウスの操作、メールの受信・送信は、最低限のリテラシーです。Word・Excel・PowerPointの操作は、企画書の作成やプレゼンテーションに必要です。ITリテラシーが低いと、情報漏洩にも繫がることがあり、情報に関しても基礎リテラシーが求められる時代です。  デジタルネイティブ世代が社会を動かす時代。 「議会改革検討委員会」は、 コストパフォーマンスの吟味だけでなく、「議員に求められるITリテラシーとは……!!」 そのことを充分に考えたICTの活用でなければならないと、私は考えています。

(仮称)金亀公園第1種陸上競技場の新築工事と今後の運営

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21.8ヘクタール。メインスタンドは地上5階建て13,418㎡余、バックスタンド は地上2階建て5,282㎡余、サイドスタンドは南北共に2,545㎡余2,422㎡等。

 令和6年(2024)開催の第79回国民スポーツ大会が滋賀県で開催されます。令和元年(2019)8月、主会場(彦根市)となる(仮称)金亀公園第1種陸上競技場の新築工事が、入札不落となり、着工時期に遅れが生じることになりました。入札後、速やかに庁内にプロジェクトチームを立ち上げ、入札参加者へのヒアリングも行いながら不落原因の究明が行なわれました。原因としては大きく2点あります。
 1つは市場の動向です。
 東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた公共工事や民間建築の高需要が継続し、関西地域でも大阪万博の決定等により、今後、大型工事が数多く見込まれる中、元請となる大手建設会社、下請となる専門工事会社ともに手持ち工事が多い状況にあり、競争性が働きにくくなったことから価格の高騰につながったもの。
 もう1つは、工事内容に起因する積算上の乖離です。
 躯体工事に関して、施工手間の考え方に乖離があったこと、鉄骨やプレキャストコンクリートの加工、組み立てに関しては、対応できる専門業者が限られており競争性が働きにくくなったこと、また仮設工事に関しては、作業効率や安全対策の考え方に乖離があったこと。

 すぐさま設計を見直し、約21億円の予算を積み増しして再度入札にかける手続きがとられました。
 今度は最低価格を下回ってしまいましたが、公益社団法人日本建築積算協会に積算等の検証を依頼し妥当なものとお墨付きを得て契約の締結に付き議決を求める議案が提出され、(仮称)金亀公園第1種陸上競技場新築工事の工事契約が令和2年2月定例会議で可決承認されました。
 契約金額は98億5600万円で鹿島・笹川特定建設工事共同企業体と、他に電気設備(電力、通信)工事が12億5180万円で栗原・甲賀建設工事共同企業体との契約です。

 県営金亀公園(仮称)彦根総合運動公園は2024年滋賀県で開催の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会での活用はもとより、将来のスポーツ振興やスポーツを通じた健康増進、地域の活性化のための施設として整備が進められるものです。
 第1種と第3種、メインとサブの陸上競技場で、滋賀県唯一の第1種競技場となり、公認記録として認められるようになります。多目的広場、園路、駐車場等の整備も行われます。

 昨年、東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる国立競技場が完成しましたが、「莫大な維持費を抱えながら、収支をどうやって黒字化するのか」の問題がクローズアップされ報道されました。この問題は、県営金亀公園(仮称)彦根総合運動公園の課題でもあります。今のうちに国スポ終了後の経営について皆さんとしっかり考えなくてはならないと思っています。ご意見をお聞かせください。  現在世の中では、DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています。簡単に言えば、ITを活用し、世の中を良い方向に導こうというものです。
 FacebookTwitterでかまいません。ご意見をお聞かせください。

彦根城世界遺産登録に向けて大きく前進 !?

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 令和2年2月19日、県公館において滋賀県知事と彦根市長は県と市が彦根城の世界遺産登録に必要な事業を連携して実施していくとする協定を締結しました。今後彦根市は、県に新設された彦根城世界遺産登録推進室と連携し、2024年度の世界遺産登録を目指すことになります。2022年度に国からユネスコへ推薦書の提出、翌年度にユネスコからイコモスへの諮問とイコモスの現地視察を経て、2024年度の登録となる予定です。
 彦根城の世界遺産登録については、このニュースレターでは今までから何度も取り上げてきたテーマです。
 「彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会」は、彦根城とその関連資産の世界遺産登録に向けて、市民・行政・企業・有識者が一体となって、情報を共有し、意見交換を行うための団体として組織されました(「細江正人NEWS LETTER vol.20」既報)。  平成30年5月28日(月)、彦根勤労福祉会館4階大ホールにおいて116人の出席のもと「彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会」の設立総会を開催。幼馴染の宮川富子会長の挨拶に続き、設立の目的「まちを守り、まちの文化的価値の保存管理や発信方法について意見を聞きながら世界遺産にふさわしいまちづくりを推進するために官民がともに考える。」という文言が確認されました。活動内容は、以下の通りです。

  1. まちを守り、美しいまちをつくるための意見交換
  2. 会員相互の情報共有
  3. 世界遺産登録のプロセスについての理解
  4. その他、会員数増への取り組み

 平成30年10月22日には、彦根商工会議所4階大ホールにおいてニコラ・フォシェール教授(フランス・エクス・マルセイユ大学)による「彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会」の全体研修会(「細江正人NEWS LETTER vol.23」既報)が開催され、令和元年9月30日には、彦根商工会議所4階大ホールにおいて、総会・全体研修会を開き、文化財調査官鈴木地平氏に「世界遺産にまつわる近年の動向」と題して講演いただきました。このような活動から「彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会」の会員は1521人(令和2年1月23日現在)となっています。
 一方、彦根商工会議所は、彦根城の世界遺産登録を盛り上げるため、滋賀大学・滋賀県立大学で「世界遺産学」として寄附講座を行い、また、世界遺産登録を彦根市全体で推進するため、NPO法人世界遺産アカデミーの協力を得て「世界遺産検定」を彦根で開催しています(次年度も7月、12月開催予定)。
 彦根城の世界遺産登録に向けて、着々と前進しているように思えますが、私は「このままでいいのか?」という不安を抱えています。世界遺産登録が成ったとき、私たちの暮らしはどうなっているのでしょう……。20年後、30年後の未来の姿が見えてこないのです。
 県営金亀公園(仮称)彦根総合運動公園の課題とともに、あなたのご意見をお聞かせいただければ幸いです。大いに議論しましょう。

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